このページでは保険会社との示談交渉がうまくまとまったのに、示談金が依頼者のもとに振り込まれないケースについてお話しします。
そんなことがあるのか? と疑問に思う人も多くいると思いますが、これからの話を聞いていただければご理解いただけるかと思います。
特に弁護士特約を使っている場合には、このような事態になる可能性がありますので、ご注意ください。
弁護士費用が差し引かれて示談金が振り込まれる
交通事故の賠償額増額の交渉を弁護士に依頼したときに、依頼者のもとに示談金(賠償金)が支払われる仕組みについて話します。
賠償金を支払う保険会社ともめて弁護士に依頼し、その結果、保険会社との間で賠償金に折り合いがついて解決すると、賠償金はいったん弁護士事務所に入金されます。
そして、そこから弁護士費用を差し引いた残りを、法律事務所が依頼者の銀行口座に振り込みます。
これが示談金が依頼者に支払われる一般的な法律事務所の仕組みです。
なぜこのような仕組みになっているかというと、直接依頼者に示談金の全額が保険会社から振り込まれると、今度は弁護士事務所が依頼者から弁護士費用を回収しなければならなくなります。
依頼者が素直に弁護士費用を支払ってくれればよいのですが、高額な弁護士費用の支払いをしぶる人も中にはいます。
つまり弁護士事務所としては弁護士費用の回収に手間がかかることになります。
ですから、このように、いったん弁護士事務所に保険会社から示談金の全額を入金させ、そこから弁護士費用を差し引いて依頼者に残った示談金を支払うのです。
交通事故の弁護士特約を利用していると、実はこの仕組みの中で依頼者に示談金が支払われないケースが生まれるのです。
弁護士特約が原因で交通事故の示談金が振り込まれない
自動車保険の弁護士特約は300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれる大変便利な特約です。
しかしこの弁護士特約のおかげで、示談金が依頼者に支払われないことがあります。その例を今からお話しします。
保険会社Aと賠償金で折り合いがつかず、弁護士に交渉を依頼したとします。
弁護士が保険会社と交渉した結果、賠償金500万円で示談が成立したとします。
そうすると弁護士の事務所に保険会社Aから示談金の500万円が振り込まれます。
ここで依頼者が保険会社Bの弁護士特約を使っていたとします。
弁護士事務所は保険会社Bに弁護士費用300万円の請求を行います。
弁護士事務所は保険会社Bから弁護士費用300万円の入金が確認できたら、依頼者の口座に保険会社Aから入金された500万円を振り込みます。
これが弁護士特約を利用した際に依頼者に示談金が振り込まれる仕組みになります。
ところが弁護士特約を利用した保険会社Bと弁護士事務所の間で弁護士費用でもめると、その先に進みませんので、示談が成立しても依頼者に示談金が振り込まれないことが起こるのです。
その仕組みを以下で詳しく説明します。
この示談が成立したのに示談金が振り込まれないという仕組みを知らずに早急に弁護士に依頼してしまい、あとあといやな思いをされる場合があります。
ですから、そうならないように以下で詳しく説明します。
弁護士費用でもめる原因
示談が成立し弁護士事務所に示談金が振り込まれているのに、弁護士特約を利用しているために示談金が弁護士事務所からなかなか依頼者に振り込まれない理由は、保険会社と弁護士事務所との間で弁護士費用でもめることがあるからです。
弁護士特約を利用している場合は弁護士費用は保険会社が支払うので、弁護士費用が保険会社から支払われたのを確認してからでないと、清算はできずに依頼者に示談金を振り込まない。ということが起こるのです。
このサイトのトップページにも書きましたが、弁護士費用は自由化されています。
しかしいくら自由化されているからといっても、相場よりも高額な弁護士費用を請求されれば、保険会社だって「はいそうですか」と簡単には支払いません。
現在、弁護士特約では弁護士事務所と保険会社の間でこの弁護士費用に関してもめるケースが多くあると聞きます。
弁護士業界も競争が激しいです。広告宣伝費もかかります。300万円まで依頼者が負担する必要がなければ、高額な弁護士費用の請求を保険会社にする弁護士事務所だってあるかもしれません。
依頼者からしてみれば、それは弁護士事務所と弁護士特約を利用している保険会社との話で、自分の示談の話は済んでいるのだから早く示談金を支払え、と言いたくなるのはわかります。
実際、私の知っているキャリアの長い弁護士は、「そうなったら私の事務所なら示談金の500万円全額は無理だけど、いったん見積もりの弁護士費用分を差し引いて依頼者に振り込んで、保険会社との話がついたら、残りを振り込むようにするか、多少、保険会社から弁護士費用は減額されてもそれは自分の事務所でかぶることにして、すぐに全額500万円を振り込む」と言っていました。
ですから、弁護士もいろいろです。
逆にそこを強硬に主張する弁護士事務所もあると聞きます。そうなると示談が成立したのに弁護士特約の保険会社と弁護士費用でもめていて示談金がなかなか振り込まれてこない、ということが起こります。
ただしもっともやっかいなのは、示談金が依頼者の口座にいつまでたっても振り込まれない理由を依頼者が知らない場合です。
弁護士事務所に電話しても事務員が「まだ清算できていません」とか「まだ解決しておりません」とだけしか答えない場合があります。
ですから、弁護士特約を利用する場合には、その事務所が保険会社と弁護士費用でもめたりしないかなども重要になるのです。
弁護士特約の保険会社の弁護士費用の算定基準は旧報酬規定と聞きます。
ですから交通事故で弁護士特約を利用する場合には旧報酬規定を適用する法律事務所が多いのですが、それでもタイムチャージ(時給)の単価や書類作成に掛かった時間などでもめることもあります。
弁護士特約の保険会社には多くの法律事務所から弁護士費用の請求がきます。
他の事務所に比べてあなたの保険会社は弁護士費用が高い、などでもめると弁護士費用の支払いが遅れます。
ですから弁護士特約を利用している依頼者の方は、示談金は保険会社から弁護士事務所に振り込まれているのか、また、その金額はいくらなのかなどをきちんと確認しないと、自分の依頼した交通事故の示談交渉がどうなっているのかは把握できないことになります。
その辺もしっかり確認してください。
次の交通事故に強い弁護士とはページでは、交通事故に強い弁護士の裏話について話します。
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