交通事故の賠償金の交渉では、赤い本「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」が使われます。
赤い本は、日弁連交通事故センター東京支部で発行しており、東京地裁の実務に基づき賠償額の基準を示し、参考になる判例を掲載してあります。
この赤い本が俗に言われる『裁判基準』や『弁護士基準』となります。
交通事故の青本
交通事故の本には赤い本以外に、青い本「交通事故損害額算定基準」があります。
青本は、日弁連交通事故相談センター本部で発行しており、全国の参考となる裁判例が掲載されています。
ネットの情報を見ていると、東京は赤い本で、地方は青本を使っているなどとと書かれているものもありますが、私の知る限り東京・地方に限らず、全国の弁護士が交通事故の交渉で使用しているのは赤い本ベースだと思います。
赤い本が基準
裁判をすれば、裁判官も赤い本を基準に和解案などを提示してきますので、基本的に交通事故の賠償額は赤い本ベースとなると思われます。
ただし、賠償金を支払う保険会社が裁判以外の示談交渉の中で、最初から赤い本をベースとした金額を提示することはあまりありません。
損害賠償額は保険会社の基準で計算され、赤い本の6割程度ということもあります。
弁護士に賠償金の示談交渉を依頼すれば、弁護士は赤い本ベースで賠償額の示談交渉をしますので、賠償額が増えるのです。
弁護士の選び方
弁護士にもいくつかのタイプがあります。
ひとつは、できるだけ裁判を起こさないで、示談交渉の中で賠償額を赤い本基準に近づける弁護士です。
もうひとつは、積極的に裁判を起して、裁判の中で賠償額を赤い本基準に近づける弁護士です。
裁判官も赤い本を基準に和解案などを提示しますので、裁判を起こせば手間と時間はかかりますが、ほぼ赤い本基準での賠償額の獲得が見込めます。
一方、裁判を起こさない弁護士の場合は、裁判を起こさないので赤い本ベースの7~9割と、示談交渉の中でどこまで保険会社が譲歩してくるかにもよりますが、裁判しない分だけ早期に解決できる可能性が高まります。
あなたが賠償額にこだわるのであれば、積極的に裁判を起こす弁護士の方が適していると思います。
逆に赤い本基準の8割でもいい、手間をかけたくない、早く賠償金を獲得したい、と言うのであれば、裁判を起こさない弁護士の方が適していると思います。
その辺の方針を決めて交通事故の弁護士を選ぶのがよいかと思います。
また、賠償金がそれほど高くないと想定される場合には、裁判を起こすと弁護士費用が高くなり、逆に裁判外の和解よりも手取りが少なる可能性がありますので、その辺も考慮し、裁判をするかしないかを決める必要があるかと思います。
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