一定の事件は、起訴前の被疑者段階から国選弁護人を付けることができます。
これを「被疑者国選」、「被疑者国選弁護人」などと言います。
このページでは、国選弁護人がいいか私選弁護人がいいかを考えてみたいと思います。

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刑事事件に強い弁護士・川合晋太郎法律事務所

被疑者国選弁護人を付けられる事件とは

被疑者国選弁護人をつけられる対象事件は、「法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役若しくは禁錮に当たる事件」です。

具体的には下記のような事件となります。
殺人
強盗致傷
覚せい剤取締法違反
大麻取締法違反
強制わいせつ
強盗強姦
児童買春、児童ポルノ
道路交通法違反(飲酒運転など3年以上の懲役になる可能性のあるもの)
窃盗、傷害、業務上過失致死、詐欺、恐喝

被疑者国選弁護人を付けられる被疑者は

被疑者国選弁護人をつけられる被疑者の要件は、資力が50万円に満たない人です。
つまり50万円の現金・預金をもっていない人で、私選(自分で弁護人を探してお願いすること)で弁護人に費用が払えない人です。




国選がいいか私選がいいか

国選がいいか私選がいいかを理解するには、刑事事件を知る必要があります。
刑事事件の場合、被疑者が罪を認めて反省し、被害者との示談が成立している、示談交渉中、さらに初犯などの場合、起訴猶予つまり不起訴になる場合があります。

起訴前の場合、弁護士はこの起訴猶予を目標に弁護活動をします。
被疑者に接見し、本当にやっているなら素直に罪を認めなさい。
謝罪文を書きなさい。
示談交渉しますよ。示談金を用意しなさい。
などアドバイスします。
配偶者や家族にもできる限り、被害者に謝罪文を書いてもらいます。

自分は罪を犯していない、と無罪の場合は、嫌疑不十分での不起訴を目指しますが、不起訴のほとんどが起訴猶予ですので、起訴猶予を目指した場合の国選と私選の違いで説明します。

罪を認めている場合は、検察官にお願いし、被疑者の了解の下、弁護士は検察官から被害者の住所を教えてもらい示談交渉をします。

示談が成立すれば、検察官に経緯を説明し、勾留を1日でも早くといてもらい身柄を開放してもらいます。
そして最終的には起訴猶予の不起訴を目指します。

国選の問題点

起訴前のターゲットは起訴猶予というのは理解できたと思います。
国選の問題点は、国選弁護人が選ばれるまでに時間がかかるという点です。
逮捕されてから1週間ぐらいかかることもあります。
勾留期間は10日間です。勾留延長でも20日間です。
逮捕されてから1週間が過ぎた時点で選任され弁護活動しようとしても時間的に問題があります。

ですから、起訴猶予を得る前に起訴されてしまうことがあるのではないかという心配もあります。

またこれは信じたくないですが、国選弁護は国が弁護士の費用を負担しますが、弁護士報酬が安いので国選の弁護士は一生懸命弁護活動しない。
などとも言われることがあります。
国選弁護人が接見も示談交渉もしないというのならば問題ですが、いくら国選だからとそこまで何もやらないいい加減な弁護活動をするとは思えません。
が、注意した方がよいでしょう。

私選のメリット

一方、私選の場合は、逮捕直後から弁護士をつけることができます。
逮捕を知らされて、家族が弁護士を探し、すぐに弁護士をつければ、家族が接見禁止でも、弁護士が接見に行って被疑者にアドバイスしてくれます。

早めに対応できるので時間的余裕もありますので、示談交渉もスムーズに行えます。

結果、起訴猶予を得ることが可能かもしれません。
刑事事件の逮捕者の半数以上が起訴猶予処分になっていますので、きちんと弁護活動していれば、絶対はありませんが起訴猶予になることは可能です。

ですから刑事事件の場合、時間との勝負になります。
その点、私選は国選より有利です。

結局、国選と私選のどっちがいいの?

よく国選と私選のどちらがよいかということが話題になりますが、そもそも私選で弁護士をつけることができないひとのために国選弁護人がありますので、私選で弁護士をつけることができる人は私選で、私選で弁護士をつけることができない人は、国選ですから、基本的にどちらがいいとかの問題ではありません。

唯一、無理すればお金は都合がつけられるが、国選弁護人にするか私選弁護人にするか迷っているという場合です。

この場合は弁護士に相談するしかないです。
その結果、初犯で起訴猶予の可能が高いなら早く弁護士をつけたほうがよいです。
そうでなければ時間的余裕ができますので、検討の時間ができます。

刑事事件の弁護士費用の相場は、着手金が30~40万円、報酬金が30~40万円の合計60~70万円です。
起訴前も起訴後も弁護士費用はほとんど変わりません。
起訴された後に国選弁護人はだめだ、私選弁護人に変えると、起訴後に私選に変えるくらいなら、最初から私選の方がよいです。

結局、私選でいけるなら私選の方がよいのではないでしょうか。
ただし私選でもきちんと弁護活動してくれる弁護士を選んでください。

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