今回は弁護士検索サイトのウソについてお話しします。
話がわかりやすいように地域を東京、業務名を離婚として説明します。

ある弁護士からの相談

あるとき、私がコンサルティングしている弁護士から「遠藤さん、最近相談に来たお客さんから『先生は離婚に強いんですよね』って聞かれたんだけど、ホームページに離婚に強いなんて書いてないですよね」と聞かれました。

その先生は離婚問題を積極的に扱っている弁護士ですが、『○○に強い弁護士』というキャッチコピーを使いたがらない人です。ですから私もその法律事務所のホームページを作る際には『○○に強い弁護士』というキャッチコピーは使用していませんでした。

それなのになぜお客様から『先生は離婚に強いんですよね』って聞かれたのかその先生は不思議がっていました。そこで私はその原因を調査しました。

弁護士検索サイトに問題が

グーグルやヤフーで「離婚 弁護士 東京」と検索すると
東京で離婚に強い弁護士を探す』という大手の弁護士検索サイトのタイトルが表示されます。

おっ離婚に強い東京の弁護士が探せるのか、とクリックしてその弁護士検索サイトを開くと弁護士一覧が表示されます。

私のクライアントの弁護士もその弁護士検索サイトに登録していましたので、弁護士一覧の何人目かに表示されていました。

そしてその弁護士の名前をクリックすると紹介文などを見ることができました。

私は私のクライアントの弁護士が紹介文に『離婚に強い弁護士』と書いてしまったんだろうと思い、紹介文を隅から隅までチェックしましたが、『離婚に強い弁護士』などとはひと言も書かれていませんでした。

なぜ離婚に強い弁護士と言われたのか

紹介文などに離婚に強い弁護士と書いていないのに、なぜお客様に『離婚に強い弁護士』と言われたのか?
その原因は上記で説明した弁護士検索サイトを開くまでのステップにありました。

まず初めにお客様はグーグルやヤフーで「離婚 弁護士 東京」と検索します。

すると検索結果に『東京で離婚に強い弁護士を探す』というタイトルが表示されます。

ここでお客は「離婚に強い東京の弁護士が探せる」と思い、そのタイトルをクリックし弁護士検索サイトを開くのです。

ですから、そのページに並んで紹介されている弁護士は全員『離婚に強い弁護士』と思い込んでしまうのです。

そしてその中から選んだ弁護士を当然のように『離婚に強い弁護士』として思い込んでいますので、「先生は離婚に強いんですよね」という質問に繋がるのです。

このように『離婚に強い弁護士』と質問される理由は、この弁護士検索サイトにあったのです。

離婚に強い弁護士の本当の意味

そこで私は『東京で離婚に強い弁護士を探す』というタイトルをクリックし表示される弁護士紹介ページを詳細に調べました。
するとそのページ内には『離婚に強い弁護士』などとは書かれていませんでした。

本文の目立つところにあるタイトルバナーは『東京で離婚・男女問題を扱う弁護士を検索』と書かれていました。

まぁここまで細かく見る人はいないと思いますが、検索結果に表示されるタイトルと開いたページの違いに気づいたでしょうか。

グーグルやヤフーの検索結果には
東京で離婚に強い弁護士を探す』と表示されているのですが、そのタイトルをクリックしサイトを開くと『東京で離婚・男女問題を扱う弁護士を検索』と変わっているのです。

開いたページを下にスクロールして表示される弁護士の欄にも『注力分野 離婚・男女問題』と記されているだけで、『離婚に強い弁護士』とはどこにも書かれていません。

つまり、グーグルなどの検索結果には『強い弁護士』と表示させておいて、それをクリックして開いたページでは『扱う』または『注力分野』という表現に変えているのです。

『〇〇に強い弁護士』というキャッチコピーを弁護士業界に広めたのは私です。

『強い』という単語を使うことに問題ありという弁護士もいますが、『〇〇に強い弁護士』というタイトルはお客様の目を引きクリックされやすく、私はこのキャッチコピーをセミナーで推奨していました。そして多くの弁護士が『〇〇に強い弁護士|△△法律事務所』というホームページタイトルを使うようになりました。

しかしこの弁護士検索サイトのように、グーグルやヤフーの検索結果に表示させるタイトルでは『東京で離婚に強い弁護士を探す』と使い、ページ内の本文では『扱う』とか『注力している』などの表現にとどめているようなやり方は想定外でした。

本文内に『離婚に強い弁護士』などと書くと、『強い』と表現することに批判的な弁護士から指摘されることを恐れたのでしょうか。ですからグーグルなどの検索結果だけに表示させるという手法を使っているのかもしれません。

しかしこのような手法は大手の弁護士検索サイトとしてコンプライアンス的にどうなんでしょう。法令違反ではないかもしれませんが倫理的には問題があるのではないかと思います。

離婚に強い弁護士の問題点のまとめ

『東京で離婚に強い弁護士を探す』というタイトルは、お客様にクリックされやすいインパクトの強いキャッチコピーです。

しかし、そのタイトルをクリックして表示されている弁護士一覧の中には、私のクライアントの弁護士のように『離婚に強い弁護士』と紹介してほしくない弁護士もいるのです。

というより、そのタイトルをクリックして表示される弁護士一覧に掲載している弁護士全員に「『離婚に強い弁護士を探す』として紹介しているけど大丈夫か?」という確認を取らずに検索結果に『東京で離婚に強い弁護士を探す』というタイトルを使用していることに問題があると私は思います。

一覧に表示されている弁護士は、注力分野に離婚・男女問題を選択しその弁護士検索サイトに登録しているので、『離婚に注力している』と紹介されることは認識していても『離婚に強い弁護士』と紹介されていることに同意はしていないのです。

そのことが今回の勘違いを生んだ原因ではないかと私は考えます。

弁護士を探している方は『離婚に強い弁護士』とグーグルやヤフーの検索結果に表示されているからと、鵜呑みにしないように注意してください。

そのタイトルをクリックして表示されるホームページを開き、その中に『〇〇に強い』『〇〇に強い弁護士』と書かれていることをきちんと確認するようにしてください。

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