弁護士が増えれば弁護士費用は安くなる?
弁護士の数が少ないところは弁護士費用は高くなるのかな?という素朴な疑問から、弁護士数と弁護士費用の関係を調べてみました。
テレビCMで日本の弁護士一人あたりの人口が欧米と比べ少ないことが流れていました。
ということは日本は弁護士が少ないんだ。と思うのですが、その一方で、弁護士増員に批判的な方も多くいます。
弁護士が増えれば需要と供給の関係から、弁護士費用が安くなり一般市民にはうれしいと思うのですが、弁護士は収入が減り大変だと思います。
でもホントに弁護士が増えれば弁護士費用は下がるのでしょうか?
このレポートで考えてみたいと思います。
4,183人にひとり
日本の人口は1億2750万人です。弁護士は30,479人です。
ですから4,183人に弁護士ひとりということになります。
弁護士数3万人といわれてもピンとこないと思いますが、結構多くいると思われる歯科医師でも99,000人(平成20年)ですから、歯科医師の3分の1くらいは弁護士がいるということです。
次に法律事務所の数ですが、これははっきりした数字が取れませんでした。
そこでiタウンページに登録されている法律事務所の数を調べました。
iタウンページに登録されている法律事務所は約11,000件ありました。
11,000件といってもピンとこないと思いますが、コンビニの数で表しますとローソンの店舗数が9,700ですから、ローソンより法律事務所の方が多いということになります。
東京は887人にひとり
全国平均は4,183人に弁護士ひとりでしたが、東京は887人にひとりでぶっちぎりで全国1位です。
全国平均を下回るのは東京のほかに、大阪2,365人の2つだけです。
その他の45府県は全国平均を上回っています。
この辺からも東京、大阪に弁護士が集中していることがわかります。
最も弁護士一人あたりの人口が大きいのは、秋田県の16,606人でした。
東北はそのほかに、青森の16,035人、岩手16,543人と弁護士が少ないことがわかります。
主な都道府県の弁護士一人あたりの人口は以下のとおりです。
都道府県名 | 人口(千人) | 弁護士数(人) | 弁護士一人 あたりの人口 |
---|---|---|---|
北海道 | 5,507 | 734 | 7,503 |
宮城 | 2,336 | 361 | 6,471 |
秋田 | 1,096 | 66 | 16,606 |
栃木 | 2,006 | 154 | 13,026 |
東京 | 12,868 | 14,515 | 887 |
神奈川 | 8,943 | 1,213 | 7,373 |
富山 | 1,095 | 86 | 12,733 |
長野 | 2,159 | 183 | 11,798 |
愛知 | 7,418 | 1,445 | 5,134 |
京都 | 2,622 | 528 | 4,966 |
大阪 | 8,801 | 3,721 | 2,365 |
鳥取 | 591 | 56 | 10,554 |
広島 | 2,863 | 452 | 6,334 |
香川 | 999 | 134 | 7,455 |
福岡 | 5,053 | 929 | 5,349 |
熊本 | 1,814 | 207 | 8,763 |
沖縄 | 1,382 | 230 | 6,009 |
県別人口は人口推計(平成21年10月1日現在)より
弁護士数は日弁連の弁護士会別会員数(2011年2月1日現在)より
弁護士が多いところは弁護士費用が安い?
需要と供給の関係で弁護士が多くいるところは弁護士費用は安い。と仮定すると、
東京が一番弁護士費用が安くなければなりません。
ところが東京は離婚の弁護士費用が77.3万円と、ぶっちぎりで全国1位でした。
大阪も67万円で全国2位でした。
北海道は弁護士の数は少ないですが、離婚の弁護士費用は49.8万円と最下位でした。
(別ページの「離婚の弁護士費用 全国徹底調査」参照)
このことから、弁護士一人あたりの人口と弁護士費用には関係がないと思われます。
弁護士費用はもっと他の要因で決定されているのではないでしょうか。
ということは、弁護士が増えれば弁護士費用が下がると簡単には結び付けられません。
弁護士は増員されていますが、一般市民にはまだまだその恩恵がくるのは遠そうです。