未払い残業代請求に必要な証拠書類
未払い残業代を請求する際に必要となる証拠書類は、サービス残業を何時間行っていたかが客観的に判断できる証拠書類でなければなりません。
そしてそうした書類を用意しなければならないのは、会社でもなく労働基準監督署でもなく、残業代を請求する労働者自身にあります。
このページでは、必要書類の集め方、必要書類の種類をわかりやすく解説します。
未払い残業代請求の必要書類の集め方
はじめに、証拠収集のためのポイントをお伝えします。
1.証拠収集は慎重に行いましょう
使用者や他の労働者に、証拠を集めていることを知られると、証拠隠滅されてしまう可能性があります。
もし退職までに余裕があれば、残業代の請求に詳しい弁護士に証拠収集に関する相談をしておきましょう。
2.証拠書類のコピー(あるいは写真)を手元に残しておきましょう
書いてあった、見たではなく、コピーを取って証拠を保管しておきましょう。
3.全く証拠がなくても残業代の請求(交渉)ができることがあります
これは証拠集めにはならないですが、どうしても証拠を集められない、あるいは証拠自体がない場合も交渉できる場合があります。
この点は事前に弁護士に相談しておきましょう。
残業をしていたとする証拠でも簡単に集められるものと簡単には集められないものがあります。
以下では未払い残業代請求に必要な証拠書類をご紹介します。
未払い残業代請求に必要な証拠書類
1.雇用時に交付された書面
名称は会社によって多少異なるかもしれませんが、例えば「雇用通知書」など雇用されるときに使用者側から交付される書類や、
「労働契約書」「雇用契約書」などのように使用者と労働者の双方でサイン・押印するような書類もあります。
使用者は労働者を雇う際、労働基準法成功規則第5条で規定された項目が書かれた書類を交付しなければなりません。
これは、残業代支給に関する規則や給与の計算方法などの重要事項が記載されているので、交付された場合は退職まで大切に保管しておくようにしましょう。
2.就業規則
アルバイトやパートを含む全労働者が10人以上いる事業場では、就業規則を作成し労働者に開示していなければなりません。
なお、ここでいう「事業場」とは企業単位ではなく支店や店舗、営業所単位でのことです。
実際には就業規則の作成をしていない企業も多く、社長が保管しているだけで労働者に開示されないこともあります。
しかし、残業代支給に関する規則や給与の計算方法などの重要事項が記載されているので、「雇用通知書」「労働契約書」「雇用契約書」と同様、手元に保管しておくことをおすすめします。
上記1と2の書類で雇用契約書なんて手元にないよ、就業規則のコピーを取らせてくれとは言えないよ、という方もいることでしょう。
しかし以下の資料は「本当の退勤時刻、勤務時刻」を立証するために必要となる資料ですので、未払い残業代を請求する上で、なくてはならない重要書類です。
証拠書類が無くてもサービス残業が日常化していることが明らかケースでは未払い残業代請求が可能なこともありますが、
書類も何もなく未払いの残業代を請求することは非常に難しいので、可能な限り必要書類は集めてください。
ただし、書類がない書類を集められないからとあきらめず、弁護士に相談してみてください。
未払い残業時間計算に必要な証拠書類
1.会社に提出しているタイムカードや日報
実際の退勤時刻が打刻されているタイムカード、労働時間がわかるような記録が残っている日報は、コピーや写真でも証拠能力があり、証拠力が非常に高い重要書類です。
残業代を含んだ賃金請求権は2年間有効ですので、過去2年分の証拠勝利を用意しておきましょう。
もし遡って証拠集めができなければ、今からでも毎日(毎月)収集できるよう、うまく行動してください。
タイムカードや日報が存在しない場合や、タイムカードがあっても打刻時間と実際に働いた時間が異なる場合などは、2以降ではタイムカードや日報の代わりとなるような証拠をご紹介します。
2.会社から個人用のメールアドレスに送信しておく
会社からメールアドレスが支給されていれば、そのメールアドレスから個人用のメールアドレスに帰社時間を日記のようにメールしておきましょう。
会社内からメールを送信していればIPアドレスでその時間会社にいたことがわかります。
営業の方で直帰などの場合もできれば会社から支給されているパソコンからメールを送っておくことをお勧めします。
「今から会社を出ます。○×氏から残業指示があり、○○○に関する業務をしていました」というような簡単で結構です。
会社のパソコンから個人にメールを送ってダメな場合は以下の証拠書類を検討してください。
3.スマホから個人用のメールアドレスに送信しておく
会社のパソコンからメールを送るほど証拠能力はありませんが、メールの送信日時が残ることで残業代の計算に役に立つことがあります。
4.手帳などに記録しておく
証拠能力がほとんどなく、証拠力も高くはありませんが、残業代の計算をする上で役に立つことがあります。
証拠力が高くない理由はメモ書きならいくらでも改ざんが可能だからです。
ですからメモ書きを残すときは22:00まで残業などといつも丸めた数字で書くのではなく、21:55などときちん記した方がよいです。
また何のために残業していたかがわかるように、メールで証拠を残すときと同じように
「21:55、今から会社を出ます。○×氏から残業指示があり、○○○に関する業務をしていました」というようにきちんと残業した理由も書いておいてください。
証拠は矛盾なく多くあった方が有利です。2~4を組み合わせる、2が無理であれば3と4を組み合わせるなどすればよいかと思います。
基本的にあなたが几帳面であり、この証拠の信憑性が高いという印象が強ければ強いほどよいです。
5.残業承認書や残業指示書を残しておく
これは、使用者から明確に残業指示があった時間であることを立証する書類です。残業承認の旨記載された書面や、上司から受信した残業指示のメール、メモ書きなどは、証拠能力があり、証拠力も高くなります。
6.残業時間中の業務がわかるような資料を残しておく
残業時間の間も、仕事をしていたことがわかる証拠として、残業中に送信したメールの履歴や、業務日誌などの残業時間中の仕事内容がわかる資料、労働者が残業していることを上司が認識しているとわかるような資料があります。
これらは証拠能力もあり、証拠力として決して低くはありません。
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