相続でも着手金なし・ゼロという法律事務所があります。

そういう法律事務所の多くは、着手金なしの代り報酬金を高めに設定しています。

そこでここでは「着手金なし・ゼロと従来の弁護士費用とどちらが得か」を計算してみたいと思います。

前提として「5000万円の相続に関して調停で争い、希望通り5000万円の相続財産を取得できた」場合を想定して計算しました。

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相続問題に強い弁護士・川合晋太郎法律事務所

従来計算だと657万円or438万円

旧報酬規程で考えると、5000万円の遺産分割調停の場合、着手金・報酬金合計の弁護士費用は、協議・調停の場合は3分の2に減額できるという規定を適用しない場合で657万円、3分の2の減額が適用されれば438万円になります。

3分の2に減額できるという解説は、民事弁護士費用(3分の2減額)をご覧ください。

着手金なし・ゼロの弁護士の場合は、多くは「報酬金のみ取得額の何パーセント」というように規定されていますので、そのパーセントによって弁護士費用は下記のようになります。

取得額の10%の場合、弁護士費用は500万円
取得額の15%の場合、弁護士費用は750万円
取得額の20%の場合、弁護士費用は1000万円

よって報酬金が取得価格の10%なら従来計算より3分の2減額が適用されなければ安くなりますが、3分の2減額が適用されると高くなります。

報酬金が15%、20%の場合は、3分の2減額されなくても従来計算の方が安くなります。

取得価格が3000万円の場合

取得価格が3000万円の場合は、従来計算では、着手金・報酬金の合計の弁護士費用は、477万円or318万円となります。

これも3分の2減額を適用するかしないかで違いがあります。

着手金なし・ゼロの弁護士の場合は下記のようになります。
取得額の10%の場合、弁護士費用は300万円
取得額の15%の場合、弁護士費用は450万円
取得額の20%の場合、弁護士費用は600万円

結論として、相続・遺産分割で問題となってる財産が3000万円の場合は、3分の2減額が適用されるのであれば10%、適用されなければ15%ぐらいが着手金ゼロの弁護士の方が安くなります。

いずれにしましても、報酬金の比率が20%なら従来計算の方が安くなります。




争いのない部分にも報酬金が

通常、遺産分割の場合、争いのない部分は3分の1として経済的利益を計算します。

例えば、上記の5000万円の内、3000万円は争いがなく2000万円で争いがあった場合は、従来計算だと下記のようになります。

3000万円部分は、経済的利益3分の1として1000万円、争いのある部分はそのまま2000万円、つまり1000万円+2000万円=3000万円の遺産分割案件として着手金、報酬金を計算します。

結局、5000万円の遺産分割なのですが、弁護士費用は3000万円の案件として計算されます。

ですから、3分の2を適用しない場合は、477万円、3分の2を適用した場合は、318万円の弁護士費用となります。

着手金なし・ゼロの弁護士の場合は、争いのある部分、ない部分を分けて計算する事務所はあまり見受けられません。

取得額の何パーセントという計算ですから、5000万円は5000万円として報酬金が計算されます。

すると、報酬金が10%でも従来の計算の方が安くなります。

このように、着手金なし・ゼロは一見よさそうに見えますが、ケースバイケースで、従来計算より高くなることもあります。

もっとも手持ちのお金がなければ、着手金を払うこともできませんので、着手金なし・ゼロというのはありがたい弁護士費用体系であることも事実です。

あなたに合った弁護士をお選びください。

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